文字サイズ  背景色
English 한국어 简体中文 繁體中文

別府の湯けむり景観

平成24年9月19日、「別府の湯けむり・温泉地景観」が重要文化的景観に選定されました。

文化的景観とは

文化的景観とは、文化財保護法で定められた文化財の一種で、人々の生活や生業といった日々の営みと、風土によって形作られた景観地を意味します。普段何気なく目にする風景の中にも、文化的な価値をもつ地域の営みに根ざした景観があり、それを後世に伝えていくには保護をする必要があります。その中でも、特に重要なものは重要文化的景観として選定を受けることができ、景観を守りつつ魅力ある地域づくりを進めるための制度として活用することができます。

別府の湯けむり・温泉地景観とは

 別府市では、西部の火山帯から東部の別府湾に向けて広がる火山麓(かざんろく)扇状地(せんじょうち)に、豊富な温泉資源を活用した生活・生業の在り方を示す文化的景観が展開します。高温の沸騰泉は気液(きえき)分離装置(ぶんりそうち) によって温泉水と温泉蒸気とに分けられ、温泉水は配管を通って集落へ、温泉蒸気は「湯けむり」として空中に高く排出されます。

 別府古来の自然湧出泉による温泉地は「別府八湯(はっとう)」と総称され、江戸時代後期までは農閑期を中心に周辺の地域から湯治客を集めていました。明治時代以降は、別府港の築港、鉄道・道路の整備により観光客が増加し、別府は一大観光都市へと発展しました。その中でも鉄輪温泉・明礬温泉では、近世の旅籠(はたご)木賃宿(きちんやど)に起源を持つ宿泊業が現在も旅館又は貸間(かしま)として継続しています。また、住民が組合制の下に管理・運営している共同浴場として温泉水が利用されています。

 温泉以外にも、江戸時代の史料に記録される地獄釜(じごくがま)の蒸し料理や明礬温泉の湯の花が入浴剤として販売されるなど、別府に特徴的な温泉蒸気の利用も認められます。

 このように、別府の湯けむり・温泉地景観は、扇状地の随所から立ち上る湯けむりの下で営まれる、温泉資源の多面的な利用の在り方を示す文化的景観として極めて価値の高いものです。

所在地

別府市大字鉄輪(かんなわ)及び大字鶴見字明礬(みょうばん)北中(きたじゅう)の各一部(地図参照)

重要文化的景観選定範囲を示した地図

重要文化的景観選定範囲

山々を背景に、湯けむりが無数に立ち上るかんなわの街を遠くから写した写真

鉄輪地区には、多数の湯けむりが立ちのぼり、旅館や貸間など昔ながらの湯治場の形態が今も残っています。

高速道路の橋を背景にした、湯の花小屋の写真。小屋からは蒸気が上がっている。

明礬地区では、湯の花小屋で温泉の噴気と青粘土を利用した湯の花製造が行われており、この技術は平成17年度に、国の重要無形民俗文化財に指定されました。

どうやって守るの?

 現在、市全体を対象にした「別府市景観計画」によって、建築物を建てる際などに制約を設けています。文化的景観についても、それを構成する建物や樹木など様々な構成要素 注1)がありますが、現在の景観計画や温泉保存管理計画などによる誘導でそれぞれの要素と景観全体の保護を図り、必要な場合はそれを補足する形で制約を設けて、日々の生活との両立をめざします。

注1)構成要素とは・・建物、樹木、湯けむり、背景の山などが文化的景観を構成する要素となります。その中でも、その地の文化的景観を特徴づけ、生活・生業を語る上で欠かせないものは「重要な構成要素」として、重要文化的景観の選定を受ける際には保存の対象となります。

赤レンガ造りの熱の湯湯元跡の写真

「重要な構成要素」熱の湯湯元跡

湯の花小屋の写真

「重要な構成要素」 湯の花小屋

これまでの経緯

 平成13年にNHKが実施した「21世紀に残したい日本の風景」で、市街地から湯けむりの立ち上る風景が、富士山に次いで第2位に選ばれたことをきっかけに、別府ならではの「湯けむり景観」を守ろうという気運が盛り上がりました。その後、国や大分県と連絡を取り合い、文化財として文化的景観を後世に残していけるよう国の重要文化的景観の選定を目指す方針を固め、事業を実施してまいりました。

平成17年4月
景観行政団体となる
平成20年3月
第1回別府市湯けむり景観保存管理検討委員会開催
(以降、検討委員会計5回(通算6回)、調査分科会計4回、計画原案策定分科会計4回開催)
平成20年3月
別府市景観計画策定
平成21年3月
鉄輪温泉地区温泉湯けむり重点景観計画策定
平成21年3月
湯けむり景観保存管理のための専門調査報告書
平成24年1月
文化的景観 別府の湯けむり景観保存計画策定
平成24年1月
文部科学大臣あて国重要文化的景観の選定について申出
平成24年6月15日
文化審議会において答申
平成24年9月19日
国重要文化的景観に選定

お問い合わせ

社会教育課 文化財係

〒874-8511 別府市上野口町1番15号 (市庁舎5F)

電話:0977-21-1587

Eメール:lle-be@city.beppu.lg.jp

別府市ホームページの使い勝手はいかがですか?
情報を探す
サイト内を検索する
分類・組織から探す
お問い合わせ
別府市役所 代表電話 0977-21-1111
ページの先頭に戻るTo the top of pageページの先頭に戻る