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別府市温泉エネルギー事業可能性検討調査事業から
得られた別府市地域の温泉資源のデータの評価

平成28年度に実施しました別府市温泉エネルギー事業可能性検討調査事業から得られた源泉データ等を、別府市温泉発電等対策審議会にて精査し分析・評価しました。

別府市温泉発電等対策審議会では、大分県温泉調査研究会が昭和60・61年に調査した結果(由佐ら※1)と比較対照の上、以下に掲げるとおり塩化物イオン濃度、噴出熱量、蒸気・熱水温度と掘削深度の関係性の大きく3つの視点で考究したところ、現在の別府市地域の温泉資源(温泉帯水層)は全体的に減衰傾向にあるとの結論に至りました。

(※1の出典)

  • *由佐悠紀・大石郁朗(1986):大分県温泉調査研究会報告第37号1~9頁
  • *由佐悠紀・大石郁朗(1987):大分県温泉調査研究会報告第38号1~6頁

1 塩化物イオン濃度の変化

(1)1985-1986調査と2016-2017調査における塩化物イオン濃度の変化

図1 図2

(2)1985-1986調査と2016-2017調査における塩化物イオン濃度と掘削深度の変化

図3

2 噴出熱量の変化

(1)1985-1986調査と2016-2017調査における噴出熱量の変化

図4 図5

(2)1985-1986調査と2016-2017調査における噴出熱量と掘削深度の変化

図6

3 蒸気・熱水温度と掘削深度の変化(図7)

図7

用語解説

温泉帯水層

空隙が水で満たされ、かつ、その水が流動しやすい(透水性が良い)地層を帯水層という。地下水層あるいは透水層ともいう。その水が温泉水のとき温泉帯水層という。ここに井戸を掘削することにより、温泉水を容易に採取することが出来る。水で満たされていても透水性が悪い地層は帯水層とはいわず、難透水層という。地層の空隙は、堆積層では土粒子や砂礫間の空隙であり岩体では割れ目である。

地熱貯留層とは、地熱地域の地下深部に展開している高温の帯水層を指す。

エンタルピー(熱量)

物体に備わっている「熱に関わるエネルギー」をエンタルピーといい、熱量ともいう。その単位としては、長い間カロリー(cal)が用いられてきたが、現在はジュール(J)が推奨されている。両者の関係は「1 cal=4.186 J」である。

水(液体)と蒸気(気体)のエンタルピーは、それぞれ1kg当りの値(単位:kJ)が「蒸気表」として公開されている。ただし、0.01℃の水を基準とし、そのエンタルピーを0.01kJ/kgとする。100℃の水のエンタルピーは419.04kJ/kg(100.1kcal/kg)、蒸気のエンタルピーは2676.1kJ/kg(639.3kcal/kg)、両者の差2256.7kJ/kg(539.1kcal/kg)は蒸発熱に相当する。

〔具体的な目安〕

コーヒーカップ1杯(150mLの100℃の湯(150g)の熱量は、419.04×0.15=62.9kJ(15.0kcal)。

ユニットバスに40℃の湯が200L(200kg)入っているときの熱量は、167.57×200=33.5MJ(8Mcal)。

噴出熱量

源泉から噴出する温泉水などの流体が、一定時間の間に運び出す熱量を噴出熱量と呼ぶ。時間の単位は秒(s)・分(m)・時間(h)・日(day)などさまざまで、目的に応じて選択される。

噴出熱量は、下の関係式で計算される。基本的な単位は「J/s = W」であるが、本資料では「GJ/h」を用いている。なお、1GJ/h ≒ 278kWである。

噴出熱量(GJ/h)=噴出量(kg/h)×流体のエンタルピー(kJ/kg)×10-6

噴出する流体が熱水(液体)と蒸気(気体)の混合物の場合は、それぞれの噴出熱量を求め、両者の温度・速度が同じとして合算する。蒸気及び熱水の噴出量は、それぞれ次のようにして求める。

蒸気の噴出量(kg/h)=蒸気流速(m/h)×蒸気密度(kg/㎥)×蒸気のエンタルピー(kJ/kg)

熱水の噴出量(kg/h):容積が判明しているバケツなどの容器が満水になるまでの時間を測定し、算出する。

深部熱水

火山体あるいはその近傍の地下深部に貯えられている熱水。浸透してきた天水(降水)が、マグマからの伝導熱および高温流体(火山ガス;マグマ発散物ともいう)の混入によって加熱されて生じる。代表的な深部熱水の水質は、ナトリウム-塩化物泉型である。別府温泉では鶴見岳-伽藍岳の地下に存在し、その温度は250~300℃、塩化物イオン濃度は1400~1600mg/kgと推定されている。

代替掘削

使用している温泉井に、泉温の低下や湧出量の減少など温泉利用上の問題が生じた場合、現在の温泉井を廃棄し至近距離に代りの温泉井を掘削すること。そのためには、県知事に理由等を記した文書を提出して代替掘削を申請し県知事の許可を得なければならない。

塩化物イオン濃度

塩素イオン濃度ともいう(ただし、この呼称は推奨されていない)。温泉水などの水中に溶解している塩化物イオン(Cl-)の量で、試料の水1kg中に含まれているグラム数またはミリグラム数で表すのが一般的である。単位はg/kgあるいはmg/kgである。なお、mg/kgはppm(百万分の一)とも書かれる。

陰イオンである塩化物イオンは、種々の陽イオンと結合して塩化物となる。代表的な塩化物はナトリウムイオンと結合した塩化ナトリウム(NaCl)、すなわち食塩である。温泉水に含まれている塩化物イオンの多くは、火山ガス中の塩化水素(HCl)に由来すると考えられている。

沸騰泉

熱水が沸騰しながら自噴する源泉をいう。熱水(液体)と蒸気(気体)が共存(注)しているので、噴出口での温度は、その場所での沸点(1気圧下で100℃)である。沸騰泉を利用するに当たっては、沸騰水を液体と気体に分離するのが普通で、そのための装置を、「気液分離装置」・「気水分離器」・「セパレータ」などと呼ぶ。

別府温泉の象徴である湯けむりのうち、高く立ち昇るものは沸騰泉と噴気からの高温蒸気が空中で凝結して霧状になったものでる。

(注):液体と気体が共存・混合しているとき二相状態にあるといい、その流体を二相流体、流れを二相流という。

噴気

高温の蒸気が噴出する源泉を噴気という。噴気には、掘削泉から噴出するものと自然のものがある。自然のもののうち、岩石の割れ目のように明瞭な噴出口は「噴気孔」という。硫黄成分の量が多い場合は、「硫気」・「硫気孔」と言うことがある。噴出口がはっきりせず、どこからともなく蒸気が立ち昇っているような場所は「噴気地」という。

湿り度・乾き度

熱水と蒸気が共存する二相流体において、合計噴出量に対する熱水噴出量の重量比を「湿り度」、蒸気噴出量の重量比を「乾き度」という。すなわち、湿り度と乾き度の和は1であり、噴出流体が熱水(液体)だけの場合の湿り度は1、乾き度は0、蒸気(気体)だけの場合の湿り度は0、乾き度は1である。

地下で200℃の熱水が地表(1気圧)に向かって上昇すると、地表では100℃の沸騰泉となって噴出する。200℃の熱水のエンタルピーは852.45kJ/kgである。噴出の途中で熱を失わないとすれば、地表での二相流体(熱水・蒸気)のエンタルピーも同じでなければならない。したがって、そのときの湿り度(X)は次のようになる。なお、式中の419.04と2257.0はそれぞれ、熱水および蒸気のエンタルピー(kJ/kg)である。

852.45 = 419.04×X+2257.0×(1 - X)

湿り度(X)≒ 0.764,乾き度(1 - X)≒ 0.236

逆に、地表での湿り度(または乾き度)から、地下熱水の温度を推定できる。

参考図

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生活環境課 環境企画係

〒874-8511 別府市上野口町1番15号 (市庁舎3F)

電話:0977-21-1134

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