平成27年度第5回人権教育学級

日時：: 10月8日（木）
場所：: 別府市役所　5F大会議室
テーマ：: 「外国人と人権」
講師：: 山本　普詳　さん
別府インターナショナルプラザ　代表理事

講演概要

1　はじめに

講師の山本普詳さん

別府市の在住外国人は約4000人、人口比率では全国で1番です。
別府市の人口は約12万人、30人に1人は外国人です。
いろいろな店で、外国人の方が流暢に日本語でお客さんと対応している姿を見ることができます。それほどに、外国人の方と接する機会が多いのが別府です。
1986年、外国人観光客の案内所を開設し、現在は別府インターナショナルプラザと改称し、活動している。

2　なぜ、私たちはこのようなことを始めたか

外国人観光客の方々に別府のいろんな情報を提供するためにはじめた。
今では、年間30万人の外国人観光客が来別し、その中で約4万人の方が案内所に来る。
別府の案内のみならず、他県の情報についても教えている。そのために、会員は3カ月間研修し、一人で外国人観光客の方々と対応できるようにしている。
別府では、自分たちが市内の路線バス会社に申し入れをして、行き先を日本語表記と英語表記にしてもらった。また、別府駅からのバスの出発時には、テープで英語・中国語・韓国語でのアナウンスがある。これは大分県でははじめての試みだったし、九州でも初めてである。
土日は銀行が休みで両替ができない。それでは買い物ができない。会員の中に両替の資格を持っている者もおり、その日のレートで両替もしてあげている。

3　今までにどのようなことが

列車の中に忘れ物をした外国人がいたが、次の駅に連絡してあげ、忘れたものが戻ってきた。また、市内の観光バスの中にカメラを忘れたとのことで、早速バス会社に連絡、車内で発見でき、無事に自分の手に戻ってきた。外国人観光客は忘れ物が戻ってきたことに感激したようだった。外国では戻ってくることがないのが普通らしい。
2002年のサッカーワールドカップでもたくさんの外国人が来日。案内やいろいろな困り事に対応した。
来別中に病気になり入院。通訳をしながら、1週間ほど面倒をみたこともある。
困った人を助けるのが、自分たちの仕事。良い気持ちで帰ってもらうことが、リピーターにもつながるし、別府のよさを友達に伝え、広めることにもつながる。

4　宗教・文化・と人権について

講演中

イスラム教は世界でも信者の多い宗教である。
- 女性は顔を隠して過ごさなければならない。
- お産するときには女性の医師でないと対応できない。
- 豚を食べることやお酒をのむことが禁じられている。
- 大皿にポーク、ビーフ、チキン、エビなどが盛られていると、そのどれも食べることをしない。そのため、パーティなどでは、パンと野菜しか食べられないこともあった。
- みりんには少量のアルコールを含んでいるために料理に使えない。
- ヒンズー教（インド）では牛肉は食べられない。

講演を聴く学級生

宗教は政治・経済に次いで3番目の観念だが、日本には宗教観がないといわれる。10月にはハロウィン、12月にはクリスマスケーキ、正月には神社に初詣、お盆にはお墓参りにいく。商業ペースに惑わされていることに外国人は驚いている。
日本人は何でも食べるし、これだけというものはない。どの国の人ともつき合える。
相手の人権を尊重し、守るためには、このようなことも知っておかなければならない。

5　外国から見た日本人

アメリカのワシントンポストに乗った記事
- 2011年東日本大震災について新聞に書かれた記事は「日本人は情報を共有することができる（全国版の5大新聞があるが、アメリカ・ヨーロッパなどには地方新聞しかない）。したがって、情報はまたたく間に隅々まで伝わる。どの新聞も記事の内容はほとんど同じであるが、それらの情報によって冷静な行動をとるとができた。大変すばらしい事である。」「見方を変えると、政治からファッションまで日本人の行動はメディアの情報に左右される傾向がある。テレビでヒットすると食べるものまで・・・。個性を無視して、メディアに流される」と。

6　外国の方と接する時は

外国の方の宗教や文化の違いを理解することが大切である。
宗教の押し付けはしない。
食べ物は、まず聞いて下さい。
- 中国の方は冷たいものは食べない。ほか弁は食べるけれども、おにぎりは食べない。
- 韓国には儒教の教えがあり、年齢の上の人が食べ始めないと箸には手をつけない。お酒を飲むときにも、相手が１つでも年齢が上であれば、横を向いて飲む。相手に喉を見せては失礼である、いけないという考え方があるからだ。

7　まとめ

国際的人権とは
- 地球上のすべての人間は幸せに生きるという権利があり、国境は存在しない。

班での話し合いから

班からの発表

子どもの学級にも外国人の子どもがいる。子どもたちは自然に接することが出来ている。
外国の方と接する時、相手の国のこと（文化など）を考えて対応しなければならないと思った。
別府に外国人案内所があることを知り、困っている人がいる時は紹介してあげたい。
出身が別府ではないのですが、別府に来たらいろんな所で外国人の方がいてびっくりした。
外国人の子どもに対していじめがあると聞いたことがあるが・・・。
留学生と一緒に仕事をしているが、仕事も一生懸命するし、言葉を教えてもらったりした。
外国の方と交流したいとは思うけれども、どうしても一歩ひいてしまう。これからはちょっと積極的になりたい。
山本さんのお話を聞いて、その大変さや大切なお仕事をされていることがわかりました。めったに外国の方から声をかけられることはありませんが、お電話番号をお聞きしましたので、必要な時にはお電話をしたいと思います。心強くなりました。
身近に外国の方がいて、子どもたちも違和感を感じていない。とても良いことだと思う。
相手の方の文化や宗教などを知って接することが大切だと知ってよかった。
外国人の方が病院に診察にみえられたが、言葉の関係で十分な対応が出来なかったことがあった。
別府には多くの外国人の方がいるが、特にトラブルがなく素晴らしいと思う。
外国人に対し苦手意識があるので交流の場がもう少し増えるといいなと思う。
宗教観を尊重し、相手の領域を侵さないことが大事だと感じた。
人権に国境はないとしているが、文化の違いがどうしても出てしまう。幼少期はそれがまったくなく和を保てているが、大人社会ではどうしても出てしまう。
別府は外国人留学生が多いので、子どもの時から外国の方たちとの交流を多く持てると、もっと、外国人への理解が進んで行くと思う。