平成27年度第4回人権教育学級

日時：: 9月10日（木）
場所：: 別府市役所　5F大会議室
テーマ：: 「子どもの声を聞こう！」（子どもと人権）
講師：: 西村　薫　さん
別府溝部学園短期大学　准教授

講演概要

1　こころの仕組み

講師：西村　薫　先生

A)　物理的「信号」を心理的「情報」に置き換える生き物
→　物理的事実　と　心理的事実　が存在する
※こころは世界を歪める

たとえば、

自分は変わっていないが、周りが大きいと自分は小さく感じ、周りが小さいと自分は大きく感じる
同じ人が、縦縞の服や横縞の服を着るとやせて見えたり、太って見えたりする

事実のすれ違いを起こさないために

ことばや動作、表情、音感を大切にしたコミュニケーションが望まれる

B)　私たちのこころは物理的信号を自動的に[処理・加工]する

私たちは、誰もが違う世界をもっている。「違い」を理由に排除はできない

2　発達の仕組み

受講中

A)　発達は環境との相互作用を通じ、新たな能力を獲得する過程である
→　発達はすぐれた社会学的現象

人間の赤ちゃんはより早い時期からいろんな環境に出会うことによって脳を発達させ、将来、どんな環境にでも適応できるように備えてい

B)　無限の可能性をもって生まれるが、その能力は環境によって枠づけられる
→　子どもが周囲の環境に働きかけた際の反応が重要

2つの大事な軸がある。1つは「子どもの人権を守る環境」、もう1つは「子ども自身が人権感覚を身につける」こと

3　現在の社会環境

A)　行き先が見えず変化のはげしい社会　→　合理性・効率性の重視

マイペースでは生きられない社会、人に過敏になり、失敗に過敏になりやすい

B)　情報が多く刺激が過多　　→　振り回される感覚、情緒的・肉体的疲弊

テレビ画面ひとつとっても、音声・画像・文字・色など多くの情報がある

C)　自己肯定感が持ちにくい　→　認められることが課題に

認められることに過敏になり、相手に合わせることが多くなる

4　仲間関係でのトラブル

講演中の先生

A)　世界中にあり、昔からあるもの　（思春期の人間関係の特徴）

体（もう子どもではない）と心（まだ子ども）の年齢の不一致（体と心のずれ）
「自分つくり」は思春期の課題である。父母から離れ、友達との関係から自分をつくっていく

B)　こころの行き違いで生じる　→　「つもり」を大切に紐解こう

トラブルの契機にスポットライトをあて、対話する

C)　こころの計算が誤算に

ネット依存が多くなっている実態。文字で伝えることの危うさ

D)　電子媒体でのコミュニケーションは難問

スマホ、携帯などの使用・・・発信の罠、検索の罠、ダウンロードの罠を認識する
人を幸せにするために開発されたものだが、画面だけで判断することは難しい。そこに「誤解」や「トラブル」が
昔は大人になってから使われていたが、今は小学生から使っている。より早い時期から、人権感覚を育てていくことが必要

5　子どもへの関わり

A)　子どもの「つもり」を大切に聞き出そう　→　子どもの安心感に

子どもは表現が十分でない。真意を受けとめられるまで丁寧に聴くことが大事。そして、丁寧に伝えること

B)　子どもへの「注意」は、困っている気持ちを伝え、抑止や禁止ではない関わり方を

実際にどの様に行動すればよいのか、生き方を伝えることが大切。制止ではなく、具体的な行動を教えること
「あぶない！」より「止まる！」、「友達に優しくしなさい」より、「友達に『ありがとう』と言われるよう」等

C)　「あたたかい優しさ」と「ゆずらない強さ」のバランス

6　そのほか

スマホ18の約束

班の話し合いから

班での話し合い

子どもの発達は、環境によって大きくかわる。ほめて育てることが大事だと思った。
情報伝達の手段が大きく進化したが、やはり大事なのは人とのコミュニケーション・周りの人や環境が大切だと感じた。
「子どもの声を聞こう」にドキッとさせられた。子どもが2人いるが、上の子とゆっくり向き合って話したことが少ない。家庭環境の大切さを知った。
生き方を伝えること、しかも、よりわかりやすく具体的に伝えることの大事を学んだ。
家で子どもがゲームをよくする。学校では落ち着きがないと先生から知らされた。そこで家での会話の時間を大事にすると子どもが落ち着いてきた。
現実の問題として、親の連絡でも今はLINEがメインになっている。
中学生の子どもがいるが、10分くらい見ないと何十件もメールが入ったりしている。内容はさまざまだが、中には“いじめ”につながるのではないかと心配するようなものまである。
私たちと育った環境が違う。親としてきちんと育てていかないといけない時代になってきている。
2つの大切な軸、①子どもの人権を守るという軸と②子ども自身が適切な人権感覚を身につけていくという軸について学んだ。
LINEやメールなど文字だけのコミュニケーションは行き違いが多く、いじめにつながる恐れがあることが理解できた。
子どもに我慢させ、黙らせてしまう。小さな時期でさえ大変なのに、成長した段階ではどう対応すれば良いのか不安になる。
親に余裕がなくて、子どもへの対応ができておらず、ついつい注意・命令口調で伝えることが多い。伝え方の工夫が必要と感じた。1つずつでも自分のできることから変えていこうと思う。
自分の見ている世界と他人が見ている世界は違うかも知れないという意識がないと、人間関係はうまくいかないと思った。
自分自身が、ライン（スマホ）の使い方やコミュニケーションについて勉強してから子どもに渡せばよかったと思った。
班からの発表

子どもとのかかわりの部分でもっとお話を聞きたかった。
自分たちの時代と環境の違いが大きく、子どもたちは、人にどう思われているのか過敏になって、生きづらくなっている。そのことから、生き方を教える必要があり、「なぜだめなのか」「どうしたら良いのか」など、わかりやすく具体的に伝え、導くことが大切なことが理解できた。そして、親自身・自分自身がきちんとしなければならないと思った。